高血圧症
高血圧症とは
高血圧症とは、血圧が高い状態が続く病気です。血圧とは、心臓が血液を送り出すときに血管にかかる圧力のことを指し、通常は「収縮期血圧」と「拡張期血圧」の2つの値で表されます。日本高血圧学会のガイドラインでは、診察室血圧140/90mmHg以上、または家庭血圧135/85mmHg以上で高血圧となります。
高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれることがあります。自覚症状がほとんどないまま進行し、気づかないうちに動脈硬化を引き起こし、心臓や血管、脳、腎臓などの重大な病気のリスクを高めてしまうからです。
高血圧症の原因
高血圧には主に「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2種類があります。
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本態性高血圧 |
原因が特定できないタイプで、遺伝や生活習慣が関係していると考えられています。 |
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二次性高血圧 |
腎臓疾患、ホルモン疾患、睡眠時無呼吸症候群、薬剤などが原因で起こる高血圧です。 |
高血圧症の治療
治療はまず生活習慣の改善から始めます。具体的には、減塩(1日6g未満が目標)、適度な運動(週に合計150分、1回あたり30分以上の有酸素運動)、バランスの良い食事、体重管理、禁煙、節酒などが推奨されます。
それでも血圧が目標値に達しない場合は、降圧薬を用いた薬物療法が行われます。主な薬には、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)、ARB(アンギオテンシン受容体拮抗薬)、利尿薬、β遮断薬などがあります。医師の指示のもと、継続的に服用することが大切です。
下記は、日本高血圧学会(2019年)の治療目標になります。
高血圧症は、減塩や減量、運動など生活習慣の改善で良くなる人もいますし、正しく治療することで合併症を防ぎ健康を維持することができます。
家庭でも毎日同じ時間に血圧測定し、記録をつける習慣を持ちましょう。そして血圧に関して気になることがあれば、ぜひ当院へご相談ください。
※日本高血圧学会のガイドラインが2025年8月に変更されました
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降圧目標は年齢を問わず、診察室血圧 130/80mmHg未満、家庭血圧 125/75mmHg未満
ただしやみくもに血圧を下げるのではなく、個別状況を考慮し、有害事象や副作用に注意すること(当たり前ですが…)
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降圧薬の種類の推奨は、変更なし
ガイドラインでは、収縮期血圧 130mmHg未満を目標に治療すると、脳卒中や心臓病のリスクが17%下がると言われています。高血圧の治療が必要な人は国内でおよそ4300万人にのぼり、年間17万人が高血圧が原因の病気で亡くなっていると推計されています。
もちろん、血圧は無理に下げるのではなく、我々医師と相談しながら患者さん一人一人の状況を考慮して治療と対策に取り組んでいきましょう。
