睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。多くの人が気づかないうちに発症していて、日本では成人の約5%以上に見られるとされ、特に中年以降の男性に多い傾向があります。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、以下のような健康リスクが高まります。
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高血圧、糖尿病、心臓疾患、不整脈、脳卒中、認知機能障害、うつ病
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交通事故、労働災害
10秒以上の無呼吸が一晩に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上起こると診断の対象になります。
睡眠時無呼吸症候群の症状
もっとも特徴的な症状は「いびき」と「日中の強い眠気」です。家族に「寝ている時に息が止まっている」「いびきが止まっては再開する」と言われたり、日中に居眠りしてしまうことが多い方は注意が必要です。
その他にも、起床時の頭痛、夜中に何度も目が覚める、集中力や記憶力の低下、性欲減退、高血圧や動悸のような症状が見られることがあります。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群には主に以下の2種類があります。
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閉塞性睡眠時無呼吸
最も多いタイプで、睡眠中に喉や舌の筋肉がゆるみ、気道がふさがれて呼吸が止まります。肥満、首回りの太さ、扁桃腺の肥大などが原因です。
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中枢性睡眠時無呼吸
脳からの呼吸指令がうまく出なくなることで呼吸が止まります。心臓や脳の病気が背景にあることもあります。
睡眠時無呼吸症候群の検査
検査はご自宅でできる簡易検査と、専門の医療機関に一泊して行う精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG検査)があります。
簡易検査は、「いびき」や「日中の眠気」などがあり、睡眠時無呼吸が疑われる場合に最初に行う検査です。携帯型の装置を手指に装着し、睡眠中の呼吸状態や心拍数、酸素飽和度などを調べます。精密検査は、脳波計や心電計などを用いて行う詳細な検査です。まず簡易検査を行い、無呼吸を認めた場合に精密検査を行います。
簡易検査でAHIが40以上の場合は、そのまま治療を開始します。AHIが20〜40未満の場合は、精密検査を行い治療の必要性をより詳しく評価します。
睡眠時無呼吸症候群の治療
治療方法には以下のようなものがあります:
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CPAP(シーパップ)療法:鼻にマスクをつけて空気を送り、気道を確保する最も一般的な治療です。
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マウスピース:軽度~中等度の方に適しており、就寝中に下あごを前に出して気道を確保します。
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減量・生活習慣の改善:肥満の方は体重減少が症状の改善に大きく影響します。
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外科的治療:扁桃腺肥大や鼻中隔のゆがみなどが原因の場合、手術が選択されることもあります。
睡眠時無呼吸症候群は、命に関わる可能性もある深刻な病気ですが、適切な治療を行えば症状の改善が期待できます。「いびきがひどい」「日中眠い」「朝スッキリ起きられない」といった症状に心当たりがある場合は要注意です。
自分自身だけでなく、家族の健康と安全にもつながる大切な第一歩ですので、ぜひご相談ください。
