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特殊な飲み薬:リベルサス

リベルサス(経口セマグルチド)について

リベルサスは、2型糖尿病の治療に用いられるGLP-1受容体作動薬というタイプのお薬です。GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、体内で食事に反応して分泌されるホルモンで、血糖値を下げる働きや食欲を抑える作用があります。従来、GLP-1受容体作動薬は注射薬(週1回や毎日注射)として使用されてきましたが、リベルサスは世界で初めて経口(飲み薬)として開発され、日本でも処方可能になりました。

作用と効果

リベルサスは、膵臓からのインスリン分泌を血糖値に応じて促し、同時にグルカゴン(血糖を上げるホルモン)の分泌を抑えます。その結果、食後の血糖上昇をゆるやかにし、HbA1cの改善に効果を示します。また、脳や消化管に作用して食欲を抑えるため、食事量が自然に減り、体重減少効果も期待できます。臨床試験では、平均して数キログラムの減量が報告されていますが、その効果には個人差があります。

服用方法と注意点

リベルサスは、起床後すぐの空腹時にコップ半分(約120mL以下)の水で1錠を服用します。服用後は30分以上飲食・他の薬の服用を控える必要があります。これは、有効成分が胃から吸収されやすい条件を保つためです。この「飲み方のルール」を守らないと効果が大きく低下する可能性があります。

注射薬との違いとメリット

これまでGLP-1受容体作動薬はすべて注射製剤でしたが、注射に抵抗がある方や針の管理が負担となる方にとって、飲み薬であるリベルサスは心理的ハードルを下げられる選択肢です。また、注射器具の保管や廃棄が不要なため、取り扱いが容易です。

限界と個人差

一方で、リベルサスの効果には個人差が大きく、「血糖も体重もよく下がった」という方がいる一方、「ほとんど変化がなかった」というケースもあります。胃腸症状(吐き気、食欲不振、便秘など)が出やすい方もおられます。また、服用条件がやや厳しいため、毎日きちんと飲める方でないと十分な効果を得にくい点もあります。腎機能が低下している場合や、過去にGLP-1受容体作動薬で強い副作用が出た方には適さない場合もあります。

まとめ

リベルサスは、「注射は避けたいけれど、GLP-1製剤を試したい」という方にとって、新しい治療の選択肢となります。血糖コントロールと体重管理の両面に作用し得る薬ですが、効果や副作用には個人差が大きく、万人向けではありません。当院では、患者さん一人ひとりの病状や生活スタイルに合わせて、リベルサスが適しているかを慎重に判断しています。興味のある方はお気軽にご相談ください。

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