糖尿病と心不全
糖尿病と聞くと、「目が悪くなる」「腎臓が悪くなる」「足を切断することもある」といった、合併症を思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも実は、糖尿病がある方にとって特に気をつけたいのが「心不全」という心臓の病気です。
心不全とはどんな病気?
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下して、全身に十分な血液を送れなくなる状態のことです。その症状は「動いたときの息切れや動悸」「足のむくみ」「横になると苦しい(医学的に起坐呼吸といいます」「咳や痰」などです。
初期のうちは症状が目立たないことも多く、「年のせいかな」と思って見逃されることもありますが、心不全は少しずつ進行していき、命にかかわる病気になることもあるのです。
なぜ糖尿病だと心不全になりやすいの?
糖尿病の方は、心不全を起こすリスクが2~5倍にもなると言われています。その理由はいくつかあります。
① 血管が傷みやすくなる
高血糖が続くと、血管の内側(内皮細胞)がダメージを受け、動脈硬化が進みます。心臓の血管(冠動脈)が狭くなると、心臓に血液が届きにくくなり、心筋梗塞や狭心症の原因になります。これらをきっかけに、心不全を起こしてしまいます。
② 心臓そのものが弱くなる(いわゆる糖尿病性心筋症)
糖尿病があると、心臓の筋肉が硬くなったり、働きが悪くなったりすることがあります。これは「糖尿病性心筋症」と呼ばれ、特に血管の病気がないにも関わらず心不全を起こしてしまいます。
③ その他の合併症
糖尿病の方は、高血圧、腎臓病、肥満などを一緒に持っていることが多く、これらが心臓に負担をかけ、心不全を引き起こしやすくします。
どうやって早く見つけるの?
心不全は、早期に見つけて対策を取ることがとても大切です。症状が出る前から定期的院検査を行い、「心臓ががんばりすぎていないか?」「過度に負担がかかっていないか?」を調べます。具体的には、
血液検査
心臓に負担がかかっていると血中に出てくる物質であるBNP(NT-pro BNP)を調べます。数値が高いと心臓に負担がかかっている状態であり、心不全になる可能性が高いです。症状がない段階でも「心不全の芽」を発見できることができます。
心臓エコー(超音波検査)
心臓の動きや弁の状態などを確認できます。BNPの数値が高い場合などに、より詳しく調べる方法として使います。
心電図、レントゲン
定期的な健康診断や診察でも行われる検査で、心臓の異常を見つける手がかりになります。
心不全を防ぐには?
糖尿病がある方は、以下のような取り組みが大切です。
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血糖値を安定させる
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血圧・体重・コレステロールをしっかり管理
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たばこを吸っている方は禁煙を
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運動を習慣にする
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塩分を控えめにする
最近では、糖尿病の治療薬の中にも「心不全を予防する効果がある薬(SGLT2阻害薬など)」が登場しています。こちらについては、別の項目で説明いたします。
循環器内科でのフォローのすすめ
糖尿病をお持ちの方の中で、以下のような方は特に循環器内科での定期フォローをおすすめします。
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動いたときに息切れや動悸がある
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足がむくむ
- 高血圧や腎臓病もある
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BNPが高いと指摘された
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心電図や心エコーで異常が見つかった
- たばこを吸っている
当院では、糖尿病の治療とあわせて、心臓の状態を総合的にチェックし、心不全の予防にも力を入れています。
最後に、専門医としてのメッセージ
糖尿病は「血糖値さえ気をつけていれば安心」と思われがちですが、実際には心臓の病気、特に心不全にも注意が必要です。無症状のうちから、心不全のリスクが高まっていることも少なくありません。
私は、糖尿病と循環器内科の両方の専門医として、血糖管理だけでなく、心臓の健康にも配慮した診療を行っています。糖尿病の治療とあわせて、心不全の早期発見・予防まで一貫して対応できるのが当院の強みです。
これからも、糖尿病と心臓、両面から皆さんの健康を支えていけるよう、丁寧な診療を心がけてまいります。
少しでも気になる症状や不安がある方は、どうぞお気軽に“はたけやま内科クリニック”へご相談ください。
